COFFEE BREAK武士珈琲の旅 by おさむらいさん
珈琲を巡る旅立ち編 A Journey Around Coffee
価値観が変わる一杯を飲んだことがあるだろうか。ワイン、ウィスキー、カクテル。紅茶、中国茶、日本茶……いわゆる嗜好品と呼ばれる飲み物の中で、一番衝撃を受けたもの。自分にとってそれはコーヒーだった。知れば知るほど世界に通じるもので、文化、歴史と共に味がある、広がっていく存在であった。昨今はコンビニで100円程度で挽きたてのコーヒーを飲めるが、それですらあまりにも美味しい。
もう十年ほど前になる。「おさむらいさんブレンド」という自分のブレンドを、東京・旗の台にある専門店、「コンパスコーヒー」と一緒に作った。自分のCDを持って行って聴いてもらい(わたしは音楽が本業である)、どれだけコーヒーが好きか、数ある焙煎、ブレンダーの中でこのコンパスコーヒーが素晴らしく、自分に合うのか、を必死に伝えたのだ。なにしろこのお店は他人のオリジナルブレンドを作ることをしていない。情熱でどうにかするしかなかった。
いわゆるスペシャルティコーヒーと呼ばれるコーヒーが広まったのはここ数年のことだが、自分が珈琲を好きになったのはもっとずっと昔のことだった。生ける伝説とも言える「カフェ・バッハ」をはじめ、様々なカフェ、生豆の焙煎屋から焙煎済みの豆を売るお店を巡ってきた。仕事柄旅をするので、地方はもちろん海外でも豆を入手したことがあるし、当地のカフェで飲んだ回数も数え切れない。
おさむらいさんのコーヒーは、当初コロンビアのクレオパトラ農園を中心としたコロンビアのブレンドで、華々しいモカに近い香りでコストパフォーマンスの高い、とてもバランスの良い豆だった(中浅煎りでフルーティーさを楽しんでもらいたい)。しかし、時代と共にコーヒーの値段が上がり、またクレオパトラ農園自体が一旦廃業するなどで、ブレンドの中身は変わっている。しかし、芯にあるのは自分の音楽であり、美味しさは変わっていないと感じている。
日本のコーヒーは美味しい。自分の音楽とコーヒーの関わり方や、コーヒーの魅力[ 味を決める要素はあまりにも多い] を伝えて行きたいと思う。