RE/SAUCE Projectプロデューサー・カトーハルヒサが提示する8つのキーワードすべてはつながり、やがて円(縁)になる

つくり手とつかい手がともに切磋琢磨していく世界
印刷業、縫製業、織物業、染色業、金属加工業、陶磁器・ガラス器製造業、アクリル加工業、ビニール加工業…。アパレルやエンタメ産業に関わるグッズ制作を30年間手掛けてきたなか、発注者と受注者の上下関係なく同じ目線で向き合うことを信条に、日本のありとあらゆるものづくりの現場と関わってきました。その醍醐味は、つくり手とつかい手、お互いの切磋琢磨にあります。世の中にないものを生み出すためには、工場や職人に対する信頼とリスペクトはもちろん、トライ&エラーをともに乗り越えていくことも必要。それによってお互いが成熟し、成長し、次へ展開していく。この「切磋琢磨」は、世の中のすべての関係性にも通じると思っています。
良質なものづくりの光景はあたりまえじゃない
“壊れること”を前提にするのではなく、“壊れないこと”を前提にしたものづくりの時代。かつては品質重視でつくられたものが生活に根差していました。しかし、今。丁寧にものづくりをする工場がどんどん廃業に追い込まれていくのを目の当たりにし、淘汰されてきていると感じます。これまでつくれていたものがつくれなくなると、世の中に粗悪な量産品ばかりが出まわるようになってしまうのではないか。このままでは、次の世代が良質なものを知らずに育つことになる。それは文化の衰退を意味します。良質なものづくりをしている光景は、もはやあたりまえじゃない。日本が誇る素晴らしい技術が廃れないように、僕たちは発信し続けます。
日本の職人のマインドは世界に誇る財産
日本の技術が失われることは、ものがつくれなくなるだけでなく、職人のマインドが失われることにもつながります。僕が考える日本の職人のマインドとは、見えないところにまでこだわり、手を抜かないこと。つかい手への気づかいを感じる丁寧で繊細な仕事がされていること。「神は細部に宿る」という言葉があるように、このマインドは世界に誇る日本の財産だと思っています。もしも、それがなくなってしまったとき、“クール”“かっこいい”“かわいい”といった日本の魅力を保持し続けることはできるでしょうか?
読者のみなさんが職人の伝統的な技術の素晴らしさに気づき、自分事として考えることで、守れるものがきっとあります。
いいものを見極める審美眼を養うために
知ることは、日本のものづくりに対する審美眼を養うことにつながります。そして、ものを選ぶ基準がほんの少しでも上がることは、良質な製品を生み出している工場と職人の技術を守ることにつながります。審美眼を養うには、伝統的な技術をつかったものや工芸品などの素晴らしさを知り、手にすることが大切。でも、そこには大きくて分厚い壁があることも理解しています。「伝統工芸師」と聞くと、なんだか分厚い壁のようなものがありますよね。僕たちはその壁を限りなく薄くし、もっと身近なものにするために、知るきっかけをつくります。ものの品位を下げたいわけではありません。気持ちの豊かさから経済の豊かさへ、その循環を生み出したいのです。
RE/SAUCE Magazineで「きっかけ」をつくる
RE/SAUCEのREは「循環」を、SAUCEは「調味料のソース」を意味します。「産業を活性化させる“循環のきっかけ”という調味料になりたい」という想いから名づけました。僕たちの活動のはじまりは、2015年に創刊したフリーマガジン「LUCKAND」。そして2025年、素晴らしい職人やクリエイターと共創する「RE/SAUCE Project」を立ち上げ、その取り組みの様子をメディアとして発信する「RE/SAUCE Magazine」とともにREスタートです。今の時代、サステナブルはあたりまえのことでないといけない。だからこそ「RE/SAUCE Magazine」は、読者それぞれが課題について考え、能動的にアクションを起こすきっかけづくりがテーマです。先人がこれまで積み重ねてきた日本のものづくりを温故知新の精神でアップデートすることで、未来はもっと明るくなる。つくり手のモチベーションを上げて、さらに10年、20年とがんばってもらう。そのために、有名無名関係なく心を打つものや人を紹介していきます。

“触媒”としての僕らが掲げるスローガンは「Manuvation」
「Manuvation」とは、「Manufacturing(製造業)」と「Innovation(革新)」をかけ合わせた造語。「製造業の革新」という希望と、日本が世界に誇る製造業を鼓舞したいという想いを込めています。ちゃんと手をかけてつくられたものには価値がつかないといけない。そしてつくり手は、そこに甘んじることなく技術をさらに磨き、革新的なものを生み出してほしい。この循環的スパイラルが広がることで化学反応が起こり、また新たなスパイラルがあちこちで生み出されたら、きっといい世の中になるはず。RE /SAUCE Projectはその循環的スパイラルを生み出すための触媒でありたい。そのために僕らは「Manuvation」を掲げ、つくり手とつかい手を結ぶ動きを止めずに発信していきます。
エンターテインメントを入口に、産業への興味と参画を出口に
RE/SAUCE Projectでは、日本の伝統的な技術に興味を持ってもらうために、影響力のあるミュージシャンやアーティストとのコラボレーションを実現していきます。さまざまな対談をはじめ、ミュージシャンが自身の出身地のものづくりのポテンシャルを紹介する企画や、古いものに新たな命を吹き込む活動をするアーティストにフォーカスする企画も立ち上げました。産業とエンターテインメントをマッチングして、かけ算して、間口を広げることで、“この人がやっているこれって何だろう?”と気になり、“おもしろい、欲しい”と手にとり、つかってみて“これいい!”と、ものの魅力が伝わるように。僕たちはエンターテインメントが担う役割がきっとあると信じています。そして、つくり手とつかい手がともに切磋琢磨する世界へ…。
